Pairs開発責任者が考える「プロダクト・マネジメント」に必要な5つの資質

皆さん、こんにちは。
eureka Advent Calendar25日目は初日も担当しました石橋がお送りします。

最終日は趣向を変えて、僕が開発責任者として携わってきたPairsでの経験を通して感じたプロダクト・マネジメントに必要な資質5つに分類して書き起こました。それぞれの資質にPairsでの実例やその資質を磨く方法・書籍も交えながら紹介します。
エンジニアやデザイナーでもプロダクト・マネージャーを兼任する人はいると思いますし、今後プロダクト・マネジメントを手がけたいと思うエンジニア/デザイナーの方もたくさんいると思うので、何かしらのきっかけや参考になると嬉しいです。

プロダクト・マネジメントとは?

プロダクト・マネジメントに必要な資質についてお話する前に、まずこの記事で言うプロダクト・マネジメントを定義したいと思います。

僕はWebサービスやスマホアプリ事業で成功するための要素は3つあると考えています。

  • マーケティング力/ブランディング力・・・いかに多くの/質の高い潜在顧客にアプローチし、登録まで結び付けられるか
  • プロダクト力・・・プロダクトのValue Proposition(顧客に真に意味のある価値を提供しているか)と、プロダクトの品質/仕組み
  • マネタイズ力・・・顧客のモチベーションツリーを元にした動線・魅力的なメニュー構成

そしてこの3要素の関係は、

事業の成長 = マーケティング/ブランディング力 × プロダクト力 × マネタイズ力

となっていて、フェーズによって重要な要素は変わりますが、基本的には掛け算でどれが欠けても事業としての成功は無いと思っています。

そしてこの3要素全てに責任を持つのがプロダクト・オーナー=事業責任者です。
その中でプロダクトのValue Propositionをベースに、プロダクトの品質を向上し仕組みを洗練させる一連の動き[戦略立案・意思決定・執行]がプロダクト・マネジメント、それを行うのがプロダクト・マネージャーだと考えています。また、時にはマネタイズの責任者になることもあると思います。
この辺りは会社や人によって定義が異なり、プロダクト・オーナー=プロダクト・マネージャー=事業責任者の場合もありますが、ここではプロダクトの品質・仕組みの改善=UIと広義のUX改善(ユーザービリティや操作感、機能設計、動線設計、画面設計…etc)を指揮する人がプロダクト・マネージャーとします。

プロダクト・マネジメントに必要な5つの資質

それでは本題の「プロダクト・マネジメント」に必要な5つの資質です。

1. 定量的ビジネスセンスがある

まずは何と言っても、これが無いと始まりません。
数字感覚を持ち数字に踊らされず、物事の因数分解が正しく出来るかどうか。

細かい施策を行うときにはしっかり定量的な考えをする一方で、意外に大きな定性的ロジックほど定量的に証明していないプロダクト・マネージャーが多いなと個人的には思っています。ザ・プロフィットの中でも以下のように触れられていますが、大体の定性的ロジックは数回簡単な計算をすればその真偽が確かめられます。

”重要なことを問うときや答えを探すときは数字を用いるのが大事だ、(中略)いかに説得力がありそうなビジネスプランでも、七回ほど簡単な算数の計算をしただけで馬脚をあらわすケースは珍しくない。”
出典元:ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか(原題:The Art of Profitability) エイドリアン・J・スライウォツキー

これは本当にここに書かれている通り、いかにも説得力がありそうな「このサービスの差別化ポイントは◯◯と□□で、これをマネタイズポイントにすることで収益化が可能」みたいな、一見「なるほど」と思えそうな定性的ロジックほどただの仮説に過ぎず定量的に証明されていないことがあります。

大戦略から細かい施策まで執行の事前・事後に定量的に検証できるのは、プロダクト・マネジメントをする上で必須の資質だと思います。


そしてこの資質を鍛えるには、ロジカル・シンキングやフェルミ推定を普段の業務や日常生活で意識するとか、会社で展開している事業のファイナンス・モデル(売上や利益の予測表)を見て、どのような観点で売上/コストを分解し予測しているのかを考察してみるとかがあると思います。
また書籍であれば、ザ・プロフィットのストーリーの中で参考書籍として紹介されている「数字オンチの諸君!」がオススメです。後は公務員試験の判断推理・数的推理関連の問題やMBA留学のGMAT対策問題を解くのも数字感覚を磨くには良いと思います。



2. 定性的ビジネスセンスがある

1が出来てもこれが出来ないプロダクト・マネージャーは、細かい数字改善をするだけのプロダクト・マネージャーになりがちです。サービスのValue Propositionを正しく理解し、インパクトのある施策を定性的に考えることができる人は強いです。
そして、そう言う人はファネルの意識をしっかり持っていて、VOCなどにも振り回されることがありません。

ここでPairsの例をひとつ。Pairsの初課金ユーザーのカスタマージャーニーは以下のようになっています。

新規登録 → 検索 → いいね! → マッチング → 課金 → メッセージ

これを見ると上位の数字を改善する方が当然インパクトが大きいということが分かります。つまり、いきなりマッチング数を増やす為にマッチング率の改善に取り組んだりするよりは、いいね!を増やした方がインパクトは大きい。そこから検索アルゴリズムの改善や「今日のピックアップ(毎日おすすめのお相手を最大4名ずつ表示する機能で、おすすめのお相手へのいいね!は無料でできる)」のような施策を考えたりします。

また地上戦/空中戦を両方展開できる人もこのセンスのある人だと思います。
Pairsが日本No.1のオンライン・デーティング・サービスへと成長出来た最大の理由はFacebookマーケティングにあります。
ここでは地上戦としてFacebook ADのPDCAを高速で回しCPAを最適化する取り組みをしました。一方空中戦として800万以上のいいね!を集めるFacebookページを作り上げてそこからPairsへ送客することでCPAを劇的に下げる取り組みをしました。
空中戦は参入障壁が高い分、一度制してしまえば絶大な効果を得ることができます。

3. マーケティング力がある

マーケティング力があるとはどういうことでしょうか。
僕は以下のように考えています。

  • (日々の情報収集や経験によって)頭の中にどれだけ多くの情報と、その情報に対する精度の高い見解を持っているか
  • 情報収集チャネルの質と量、情報分析力、情報に対して精度の高い見解ができる人が身近にいるか

前者は既に頭の中にどれだけ正しい情報/見解があるかで、後者は今後どれだけ正しい情報/見解を得られるかです。

そしてここは、1・2の資質によるアウトプットのスピードと精度に大きく関わってくる部分です。アウトプットするごとにいちいち全部調べていたのでは時間がないし、そもそも情報を得られないと定量的な計算も精度の低い変数だらけになって、因数分解はあっているけど解を求めることができない状態に陥ります。

マーケティング力を手っ取り早く磨く方法としては、各方面に精通する方のFacebookをフォローすることが考えられます。
そう言う方たちは積極的に記事をシェアするので情報量自体が増えますし、その記事は価値の高い情報であるケースが多いです。そしてシェアに精度の高い見解が添えられていることも多く、その見解と自身の見解との差分を考えることで情報分析力も鍛えられます。

4. ビジョンとゴールと戦略がある

ビジョンが無ければ人はついてこないしゴールも決められない。ゴールが無ければ戦略も決められない。戦略がなければ出たとこ勝負で中長期的には勝つことができない。なのでこの3つはプロダクト単位でもしっかり定めましょう。

そして人がついてくる・こないの観点で一つ言えるのは手堅いビジョンに意味は無く、ビジョンは大きくなければいけない、かつコミットしなければいけないと言うことです。

人が1日の多くの時間をそのプロダクトに投資する訳なのでそれだけの価値がビジョンには無ければいけない。そしてそれだけ価値のあるビジョンをぶちあげたなら後はそのビジョンに近づけるようにゴールを設定し、そのゴールにコミットするしかない。その為に精度の高い戦略をしっかり持たなければいけない、と考えています。

ビジョンに対する考え方を学ぶにはちょっと話が壮大になる&定番ではありますが、ビジョナリー・カンパニーがおすすめです。


5. 1-4の資質を持っている上で、何が何でも勝つ気がある

結局これが一番重要だと思います。

例え1-4の資質を持っている能力的に優れたプロダクト・マネージャーでも、何が何でも勝つ気がないと1の資質を武器にして「できない理由」を語るようになります。1の資質は「達成できるロジック」を作り出すための資質であり「達成できないロジック」をつくり出した時点で、事業家ではなく評論家やコンサルになってしまいます。
アンビシャスターゲットツリーの考え方と一緒で、できない理由のほとんどはできる理由に転換可能でありそのように考えていかなければビジネスでは勝てません。

ゆえにゴール設定に対して逆算して段階的にマイルストーンを設定し、どの数字をどれくらい改善することでマイルストーンをクリアできるのかを計算し、その数字を改善する方法を考えることに注力する必要があります。

アンビシャスターゲットツリーは「考える力をつける3つの道具」でも紹介されていますので、これまた定番ではありますがまだ読んだことの無い方はぜひ。


まとめ

Pairs開発責任者が考える「プロダクト・マネジメント」に必要な5つの資質

この5つの資質はあくまでエウレカ/Pairsでの経験、前職で事業責任者をしていた時の経験を通して僕個人としての考えをまとめたものです。会社・事業によっても変わりますし、個人の見解によって変わる部分も大いにあると思います。
(なので過度な突っ込みはご容赦いただけると幸いです…mm)

ですが大きく外れていることも無いと思うので、ここに書かれている資質を意識してプロダクト・マネジメントを行い結果を出すことで、プロダクト・マネジメントを楽しめる人が少しでも増えれば幸いです。

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